アルゼンチンワイン

アルゼンチンの気候・風土
南アメリカ大陸の南部に大きな逆三角形の国土をもつアルゼンチン。その面積はアメリカ合衆国の3分の1にあたり、北から南へ約3200kmにわたって広がっています。北部の亜熱帯ジャングル地帯から始まり、高地や低地、樹林や荒野、大草原や沼沢、森林や乾燥地を経て、最南端のティエラ・デル・フエゴ島まで、実に多様な自然を有する国です。

チリとの国境、国土の西側にはアンデス山脈が走り、この東の麓に沿った地域、南回帰線から南緯40度の間にワイン生産地が連なっています。ぶどう栽培に適した砂土、ローム層などの土壌を有し、気候は大陸性気候の影響を受けて温暖。アンデスから吹き下ろす風のおかげで、冬は乾燥してあまり寒くなく、夏も湿度が低く雨が少なくなっています。

ぶどうの病害の発生が少ないのは、この乾燥した気候のため。またその一方で、アンデスの雪から生まれる美しく豊富な水に恵まれ、ぶどう畑に施された世界有数の灌漑設備を支えています。また、ぶどうがつくられる地域では夏季に最高気温が40度にも達するなど、昼夜の気温差があることにより、良質なぶどうが生み出されています。このような恵まれた条件のもと、ぶどうの栽培面積は約23万ha、ワインの年間生産量は約1505万hlに上り、世界第5位となっています。

アルゼンチンのぶどう栽培地域は、アンデス山脈東麓の南北に広がり、北西部、中央西部、南部に分けられます。このうち全栽培面積の91%を占めるのが中央西部。この中央西部から生み出されるワインは、総生産量の約70~75%に上り、なかでも主要生産地となるメンドーサ州には有名なワイナリーが集中しています。

アルゼンチンには2000以上のワイナリーがあり、最新鋭の工場で大量生産をする工場も増えています。かつては国内消費率が高く、デイリーなワインを造っていましたが、近年では世界的なニーズの高い高品質なワイン造りにも取り組んでいます。

アルゼンチンワインの歴史
かつてスペインの植民地であったアルゼンチンは、そのスペイン支配下の時代に、ぶどうが持ち込まれました。時は16世紀の初頭。スペイン人宣教師によりぶどうが紹介されたといいます。1580年代にはぶどう栽培が始められ、それと同時にワイン造りも始まりました。

そして19世紀には、ヨーロッパからの移民などにより醸造技術や栽培技術が伝えられ、アルゼンチンのワイン産業は大きく発展します。フランスやイタリアのぶどう品種──カベルネ・ソーヴィニヨン、マルベック、シャルドネなども持ち込まれ、アルゼンチンのぶどう栽培に適した気候風土が良質のぶどうを育むようになりました。

1990年代に入ると、多くの外国資本が流入したことから、近代的な醸造が本格化。高級ワインの生産にも取り組んでいます。主なぶどう品種としては、赤ワイン用としてマルベック、カベルネ・ソーヴィニヨンなど、白ワイン用としてはシャルドネ、シュナン・ブラン、トロンテス・リオハーノなどがあげられます。一般に、赤は美しいルビー色で果実味が豊かで力強いのが特徴。白ワインは凝縮感のある調和のとれたものが多くなっています。

原産地呼称制度(DO/デノミナシオン・デ・オリヘン)
アルゼンチンワインは、原産地呼称制度(DO/デノミナシオン・デ・オリヘン)により管理・規定されていますが、ヨーロッパのワイン法に比べると緩やかです。現在認定されているのは表の以下の3地区で、申請中の地区もあります。

原産地呼称地区 ルハン・デ・クージョ地区(メンドーサ州)
サン・ラファエル地区(メンドーサ州)
パジェンス・デ・ファマティナ地区 (ラ・リオハ州)

 (参照:アサヒビール)

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