マルベック

数ある赤ぶどうの中でも、個性的な品種である。個性の第一は、果皮が厚いため、ワインは俗に「黒ワイン」と呼ばれるほどに色が濃いこと、第二に、非常にタンニンが豊富であること、それに、若いワインでは、ブルーベリーの香りまたはヴァイオレットの香りと表現される、果実の香りというよりも、花や化粧品を連想させる強い香りであることが挙げられる。

ボルドー地方では、栽培が認められている5種の赤ワイン用品種の一つになっているが、栽培量は少ない。それに対して、マルベックを中心に作られているのが、ロット県のカオールである。「カオールの黒」と呼ばれる、非常に色が濃く、フルボディのワインは、好みの分かれるワインである。しかし近年はその独特の「くせ」が少ないカオールのほうが多くなっている。

フランス以外で多く多く作られているのは、アルゼンチンである。「穀物や野菜よりも牛肉の方が安い」といわれる国で、肉料理に合う濃いワインが好まれるためだろう。当地の気候風土に合うこともあり、アルゼンチンを代表する品種となりつつある。

1990年頃から話題になった「赤ワインパラドックス」で注目されたポリフェノールの含有量が最も高く、「健康」をうたったぶどうジュースやワインには、この品種が多く使われている。

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