緑のワイン

ポルトガルと言えば、ワインはやはりポートワインということになりますかねえ。私は最初ポートワインと呼ばれている「ポート」が何を意味するのか分からなかった。それが町の名前だということ知ったのはかなり後になってからだった。ポルトはポルトガル北部のドウロ川沿いの街で、現在ではポルトガル第二の都市。18世紀ごろドウロ川沿いのブドウ畑で作られた甘いワインを英国向けにポルト港から輸出していたため、「ポルトワイン(ポートワイン)」と呼ばれるようになったらしい。英語では港のことをPort というのだが・・・。ともかく名前の由来はそんなところにあった。

私が今回お話するのは、ポルトガルを旅行した時に出会った「緑のワイン」のこと。
年末年始家族でオランダからの団体旅行だったので、食事は皆とホテルで決まった料理を食べていたが、一日別行動をしてアルガーブの町はずれのレストラン(地元の食堂という感じ)で夕食をとった。

料理の方はあまりよく覚えてないがワインだけが強く印象に残っている。ポートワインのような赤のワインではなく白ワインなのだが、非常にすっきりさっぱりしているのだ。旅に出る前にポルトガルには「緑のワイン」というのがあると話だけ聞いていたが、そこで飲んだ白ワイン(?)がまさにその緑のワイン(ヴィーニョ・ヴェルデ)であった。

注文するとワイングラスではなく、日本の食堂でも水用に使っているようなガラスのコップと一緒に出てきた。コップに注いでちょっと透かして見るとやはり心なしか微かに緑のような感じもする。コップの色ではなくやはりワインが微かに緑がかって見える。飲んだ感じではアルコール度数はかなり低そうで、酸味があるがフレッシュな感じで水のようにがぶがぶ飲める。

女房も手伝ったということもあるが、あっという間に1本空いてしまい、同じものをもう1本。これでは食事ではなく、酒を飲みに来たようなものだった。夏場ならば、まさに水代わりになりそうに思えた。これが緑のワインか。ポルトガルで飲んだのはこの一回だけに終ったが、帰国してからこの時のことを思い出していくつかの酒屋で緑のワインを探してみたところ、見つかった。

私が日本で見つけたのはGATAOという猫の絵のラベルのもの(写真は拡大できます)。それほど高くはない。ヴィーニョ・ヴェルデ、発泡性ワインと書いてあるし、これは言われなくてもガスが入っていることは分かる。そしてアルガーブで飲んだ時炭酸ガスが入っていたんだろうか、ちょっとそこまでは気が付かなかった。僅かにガスが入っていたようないないような・・・、私の感覚も実にいい加減なものである。

今では夏場には何本か買い置きして水代わりに楽しんでいる。写真の右端のボトルは以前からの緑色のちょっと不気味な感じの猫のボトル(今は単に容器として使っており、中は2年前の自作の梅酒が入っている)、真ん中が数年前ラベルデザインを一新した現在のものでいずれも「Vinho Verde」と書いてある。

それと左端にあるのは、つい最近見つけて面白がって買った缶入りのもので、こちらには英語ではっきりと「aerated semi-sparkling WHITE WINE」と表示されているが、ボトルのようにVinho Verdeとは書かれていない。つまり、炭酸ガスを入れた白ワインということが書いてある。なぜボトルと缶で同じような表記にしなかったのだろう?特別な理由でもあるのだろうか?アルコール度数はやはり低く9%。

後日調べてみて、「緑」の正体が少しだけわかった気がした。文字通りこのワインは昔から完熟前のブドウを原料にして作られていて、できたワインの色もわずかに緑がかっているし、新鮮な・若々しいという意味もこの緑という言葉には込められているようだ。また、昔からの製法では発酵過程で出る炭酸ガスが少しワインに残って微発泡の状態になっていたらしいが、今では通常の白ワインに後で炭酸ガスを注入するようになったとも聞く。それで缶の方の表示となっているものと思われる。

 

 

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