帰国前の買いだめの愚

ひょんなことでワインの問屋を知ってから、帰国するまで何度も通った。一度に大量には買わず5-6本買って、それがなくなりそうになるとまた出かける。1998年夏に本帰国することになったが、前年半ばあたりには帰国が近いことが分かったので、持ち帰るものをいろいろ考え始めた。

これは是非持って帰ろうというものがいくつかあったが、その中にどういう訳かワインも入れた。ということで、この問屋に何度も足を運んで、あまり分からないなりに品定めをしてせっせと買い込んだ。翌春ごろには例のワインセラーには大分溜まってきた。しかし、その時点であることが気になりだした。

商売でヨーロッパのワインを日本に輸入している会社なら輸送中でも品質管理(特に温度管理)がなされているが、我々の場合は家財道具と一緒に船便で運ぶわけだから温度管理などしていない。そして、日本につくまでには2度も赤道を横切らざるを得ない。コンテナーの中はおそらく40度以上は覚悟せねばならないだろう。折角高いワインを買っても、日本についた時味がおかしくなってしまってはそれこそ元も子もなくなる。

そして、しばらく悩んだ結果、船便で送ってダメにしてしまうくらいなら、いっそのこと、ここで飲んでしまおう。そう判断して、何とも複雑な気持ちで、その日から女房ともどもそのワインを飲み始めた。流石にそれまで飲んでいたのよりも美味かった。仕入れた時の意図とは全く違う結果となってしまったが、それはそれで仕方がないと思いつつひたすら飲んだ。

それでも船便の荷物をまとめる頃には、まだ30本ばかり残っていたが、そのうちの10本はダメもとで船便に乗せてみることにして、残りはすべて帰国する前までに飲み切ったが、何ともあっけない結末となってしまった。

そのワインが日本の自宅についたその日、他の荷物はそっちのけですぐに1本開けてみた。皆さん、どのようなことになっていたか想像がつくでしょうか?

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